滋賀で土地を選ぶ前に:琵琶湖・河川・活断層・液状化を“地図で”一括チェックする方法 | 株式会社 盛匠|滋賀県栗東市の工務店
2025/11/11

滋賀で土地を選ぶ前に:琵琶湖・河川・活断層・液状化を“地図で”一括チェックする方法

滋賀県で新築用の土地を探すとき、多くの方がまず注目されるのは価格や立地、通勤・通学のしやすさだと思います。しかし、近年の大雨や地震のニュースを見聞きすると、日常の暮らしを守るためには「その土地が持つ自然リスク」を初期段階から丁寧に見ていくことが大切です。
滋賀には日本最大の湖・琵琶湖があり、湖岸や河川流域の浸水、山地の多い湖西・湖北の土砂災害、断層帯に由来する地震、旧河道・低地で起こりやすい液状化など、地域特性と結びついた複数のリスクが重なって存在します。
これらは感覚や噂では判断できません。公的なハザードマップを使って、住所を入力し、地形や想定シナリオを重ね合わせて確認することがもっとも確実なアプローチです。
この記事は、国の「重ねるハザードマップ」と滋賀県の「防災情報マップ」を軸に、地図の開き方・見る順番・判断の着眼点を実務の視点で整理しました。さらに、琵琶湖と瀬田川の水位関係、活断層と想定震度、液状化やため池、豪雪エリアの視点まで踏み込み、土地選びの段階で検討しておきたい設計面・保険面のヒントもまとめています。
まずは地図で全体像を掴み、次に現地確認で裏どりを行い、最後に設計と暮らし方でリスク低減を図る。この三段階を意識することで、安心して長く暮らせる土地選びにつながります。

まず“どの地図で見るか”を決める

土地の安全性を判断するとき、最初に迷いやすいのが「どの地図を使えばいいのか」という点です。
滋賀の場合は、国の統一プラットフォームで広域の傾向を掴み、県の詳細マップで家の粒度へ落とし込む流れが効率的です。最初に広い視野で“危ない可能性がある場所”を把握し、その後で想定浸水深・確率・地形分類・液状化など、意思決定に直結するレイヤーを拡大して確認します。
加えて、避難所や避難経路、家から幹線道路までのアクセス路の浸水状況もセットで見ておくと、生活動線まで見通しが立ちます。
地図は一度で完璧に読み切ろうとせず、必要なレイヤーを順番に重ねていくと理解が深まります。

国の「重ねるハザードマップ」を使う(住所→地形→洪水・土砂)

国土交通省の「重ねるハザードマップ」は、住所検索から始め、洪水・土砂・高潮・津波(内陸県の滋賀は津波対象外)などをレイヤーとして切り替えられる総合ポータルです。
ここでまず確認したいのが、地形分類と標高です。自然堤防、後背湿地、旧河道、谷底低地といった分類は、その場所が“もともと水とどのように付き合ってきた地形か”を教えてくれます。
例えば、自然堤防上は相対的に水はけがよく、後背湿地や旧河道は水が滞留しやすい傾向にあります。
こうした地形的な素性を踏まえたうえで、洪水浸水想定のレイヤーを重ねると、色分けで示される最大浸水深の意味が立体的に理解できるようになります。地形と浸水を合わせて見ると、図面上はわずかな高低差でも実生活には大きな差が出ることが分かります。
通勤・通学に便利でも、低地でアクセス路が冠水しやすい場合は、停電や物流の遅延、救急搬送の遅れなど“暮らしの継続性”に影響します。
まずは広域で“危ない可能性がある”場所をあぶり出し、候補地を段階的に絞り込みましょう。

滋賀県「防災情報マップ」で詳細粒度を確認(最大浸水深・確率・地先の安全度)

滋賀県が提供する「防災情報マップ」は、県内のリスク情報をより細かいスケールで確認できるのが特長です。
洪水については10年・100年・200年といった確率ごとの想定浸水深や家屋水没・流失確率のレイヤーがあり、住居レベルまで拡大して具体的な深さや範囲を把握できます。琵琶湖の浸水想定区域図も確認でき、湖岸エリアを検討する際の判断材料になります。
あわせて「地先の安全度」や避難所・避難経路の位置を確認し、家そのものが無事でも外へ出られない、あるいは帰宅できないといった事態を想像しておきましょう。県マップは活断層・液状化・土砂災害警戒区域なども横断的に閲覧できるため、洪水だけでなく“重なりリスク”を可視化できるのがポイントです。
国→県の順に精度を高めることで、候補地の比較がスムーズになり、現地調査の着眼点も明確になります。

滋賀“ならでは”のリスクを見る(琵琶湖・河川・活断層・雪・ため池)

滋賀の土地選びでは、琵琶湖ならではの視点が欠かすことはできません。
湖岸や瀬田川流域の浸水は、湖面水位の上昇や河川の増水が連動して起きるケースがあり、平野部の広い範囲で影響を受ける可能性があります。さらに、県内には複数の活断層帯があり、想定震度が高くなる地域もあります。
湖西・湖北は豪雪に備えた生活設計が必要で、農業が盛んな地域ではため池の近傍に位置する宅地も少なくありません。
以下の各テーマで、地図での確認ポイントと暮らし・設計への落とし込み方を整理します。

琵琶湖と瀬田川の関係を押さえる(統括図の見方と暮らしへの落とし込み)

琵琶湖周辺の土地を検討する場合、まず確認したいのは琵琶湖の浸水想定図と瀬田川との水位関係です。
大雨や上流域の流入状況、排出側の条件が重なると琵琶湖の水位が上昇し、湖岸や低地で広い面積が影響を受ける可能性があります。地図上では最大浸水深が色分けで示され、B.S.L(基準水位)から何メートル上がった際にどの範囲が浸水するのかが分かります。
候補地がこの範囲に入る場合は、建物の基礎高さや床レベル、給湯器・分電盤・屋外コンセントの高さ設定、外構の排水計画などを早い段階で検討しておくと安心です。さらに、地図上で家から幹線道路までのルートを描き、どの区間で冠水しやすいか、避難所までの到達経路に代替経路があるかを確認してください。
湖岸は景観や利便性の魅力が大きい一方、広域の水位変動に伴う足止めリスクがあり得ます。
地図で想定を掴み、設計と暮らし方で備えることで、日常の安心度は大きく変わります。

活断層・想定震度と液状化(地盤の性質と基礎形式の検討)

滋賀県内には、琵琶湖西岸断層帯や花折断層帯、鈴鹿西縁断層帯、柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯など複数の主要断層帯が存在し、地震動の影響が大きくなる地域があります。
県の想定震度図や地震被害想定を確認すると、都市部でも震度6強相当の揺れが想定されるケースが示されています。ここで重要なのは、表層地盤の性質です。旧河道や埋立地、砂質の堆積地では地震時に液状化が発生しやすく、基礎の不同沈下や配管損傷、外構・擁壁の変形が起こるおそれがあります。
県の液状化危険度分布図を候補地に重ねると、表層の特徴が見えてきます。液状化の可能性が高いエリアで建築する場合は地盤調査を早めに実施し、改良工事や杭基礎の検討を並行して進めると後戻りのない計画づくりに役立ちます。
合わせて、室外機や給湯器、物置など重量物の据付方法や転倒防止の金物計画、室内の耐震収納・落下防止対策まで視野を広げておくと住み始めてからの安心感が違います。

土砂災害警戒区域(指定済み・指定前の“地形由来”も見る)

湖西や湖北を中心に山地が迫る地域では、土砂災害警戒区域(イエロー)や特別警戒区域(レッド)の指定状況を必ず確認しておきましょう。
指定区域に該当しなくても、斜面直下や谷筋、沢の出口、扇状地の先端部などは地形由来のリスクが潜んでいます。重ねるハザードマップの地形分類と県の土砂災害マップを併用し、宅地の背後に急斜面や渓流がないか、斜面に擁壁がある場合は周辺の排水状況や越流の可能性を現地で確かめることが大切です。
設計面では、敷地の雨水処理(U字溝・集水桝・排水勾配)の計画や、裏手からの土砂流入を抑えるための縁切りや側溝整備、建物裏の点検通路確保など、建築と外構を一体で検討します。
土砂のリスクは“発生の有無”だけでなく、“発生した場合に家が受ける影響の度合い”を下げる工夫が鍵です。
避難所や一時避難場所への移動経路も、夜間や降雨時を想定して複数想定しておくと安心です。

豪雪・寒冷リスク(湖北・湖西の暮らし設計)

長浜・米原・高島などの地域では、冬季の降雪・寒冷への備えが日常の暮らしやすさに直結します。土地選びの段階で生活道路の除雪体制や幹線道路との接続、坂道の有無を地図と現地で確認しましょう。
屋根の雪荷重を見込んだ構造設計、雪庇や落雪への配慮、カーポート・物置の耐積雪性能、玄関や勝手口のアプローチの滑り対策、屋外水栓の凍結対策などは初期設計に組み込んでおくと後からの改修コストを抑えられます。
停電に備え、蓄電池やポータブル電源、非常用暖房の選択肢も検討材料です。
豪雪地では、避難所までの移動が難しくなる可能性もあるため、家中での“在宅避難”を想定した備蓄・断熱・気密の計画が暮らしの安定につながります。
雪は地域の景観資源でもありますが、安全な歩行と車両の出入り、屋根・外構の保全を両立させるために、土地と設計をワンセットで考える視点が大切です。

ため池ハザード(下流側の宅地は要確認)

県内には農業用ため池が多数分布し、近年は“防災重点ため池”の指定やハザードマップ整備が進んでいます。
候補地がため池の下流側に位置する場合、ため池の堤体が破損したシナリオで浸水範囲や到達時間がどうなるかを市町の公開図面で確認しておくと安心です。ため池の現況(改修済みか、点検状況はどうか)を自治体に問い合わせると、より確かな情報が得られます。外構計画では、敷地外からの流入を受けた際に水を溜めない・家屋へ寄せない工夫(排水勾配、側溝、透水性舗装、門周りの開口部の工夫など)を検討し、浸水時に室外機・分電盤・給湯器などが損傷しにくい高さに配置すると、復旧スピードが上がります。
ため池は地域の農と景観を支える施設でもあります。リスクを正しく理解し、設計・保全・地域との対話で暮らしの安心と調和を両立させましょう。

実務で役立つ“土地の見極め5ステップ”

土地選びの判断を迷いなく進めるために、次の5ステップに沿って確認しましょう。
広く→深くという順序を守ると、情報の抜け漏れが少なく、比較検討がスムーズです。

①住所で検索(国→県の順)
最初に重ねるハザードマップで住所検索し、洪水・土砂の全体像を把握します。次に滋賀県の防災情報マップで拡大し、想定浸水深や確率、家屋水没・流失確率、地先の安全度など、より具体的な指標へ落とし込みます。

②地形を見る(“水と地形”の素性)
自然堤防・段丘面は相対的に強く、後背湿地・旧河道・谷底低地は水が溜まりやすい傾向があります。
地形分類と標高の両方を見て、平面地図だけでは分からない“高さの差”を意識しましょう。

③水の深さと“確率”を見る
10年・100年・200年といった想定確率の違いを見比べ、浸水深の最大値だけでなく、アクセス路や周辺施設の冠水状況まで視野を広げます。
家が無事でも道路が通れないと、在宅避難・物資調達・通院などに支障が出ます。

④土砂・液状化・活断層を重ねる
洪水だけで判断せず、土砂災害警戒区域、液状化危険度、活断層と想定震度を重ねて、複合リスクを可視化します。
地盤改良や杭基礎、擁壁や排水計画、耐震仕様や固定金物の強化など、設計コストに直結する論点が早めに見えてきます。

⑤避難と“アクセス路”を確認する
避難所までの経路を複数想定し、警戒レベル4が発令された段階で確実に移動できるかを確認します。避難情報の運用ルールを家族で共有し、夜間・降雨時・積雪時の移動をシミュレーションしておくと、いざという時に慌てることがなくなります。

購入前の“意思決定チェックリスト”

最終判断の前に、次のチェックリストで候補地を評価しましょう。○・△・×の目安を作ると、感情に流されず判断できます。

×:最大浸水深が3m以上で、主要アクセス路も広範囲に冠水。代替経路がなく、在宅避難の見通しも立ちにくい。

:0.5〜1m程度の浸水想定。道路は冠水しにくく、基礎高さや設備の嵩上げ、外構の排水計画で対処できる余地がある。保険・備蓄・非常電源の準備を前提に検討。

:浸水が浅く、自然堤防や段丘など地形の素性が良好。液状化の可能性が低く、土砂災害警戒区域外。避難経路が2ルート以上確保できる。

保険・コストの確認:水災補償の要否、地盤改良・杭基礎・擁壁・外構排水・止水板・非常用電源など、初期投資と長期維持費を試算し、家計計画に組み込む。

自治体・情報へのアクセスのしかた(探し方のコツ)

実務では、県の防災情報マップをブックマークし、市町のハザードページへ横断できる導線を確保しておくと便利でしょう。
候補地が絞れたら、該当市町名+「洪水ハザードマップ」「土砂災害」「ため池」「避難所」で検索し、最新更新日の記載を確認しましょう。
気になるため池がある場合は、都市計画課や農林水産系の部署に問い合わせると、改修状況や点検サイクルを教えてもらえることがあります。併せて、指定避難所の収容人数・設備、ペット同行の可否、津波以外の内水氾濫時の運用なども確認しておくと、入居後の安心感が違います。
ネット地図と役所情報、そして現地確認を三位一体にすると、机上評価と実地の差が埋まります。

まとめ(今日からできる一歩)

滋賀の土地選びは、「湖×河川×活断層×雪×ため池」という複数の視点を地図で順番に重ねることが近道です。まずは国の重ねるハザードマップで広域の傾向を掴み、滋賀県の防災情報マップで家の粒度へと精度を上げましょう。
そのうえで、琵琶湖の水位上昇シナリオ、想定震度と液状化、土砂災害、豪雪の生活設計、ため池の位置関係を確認し、設計・外構・保険・備蓄に落とし込めば、同じエリアでも安心度の高い選択肢が見つかります。
土地は“暮らしの土台”です。価格や利便性と同じくらい、地図に写るリスクと向き合い、家族の安心を長く支える場所を一緒に選んでいきましょう。

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著者プロフィール

中島 盛夫
株式会社盛匠代表取締役[保有資格:二級建築士、宅地建物取引士]

大工としてひたむきに走り続けていた26歳のある日、お客様の娘様から頂いた現場での一言、 「良い家を作ってくれてありがとう」その言葉に建築への想いが膨らんでいく気持ちに気づいた私は、 「家づくりの最初から最後まで、じっくりをお客様と対話して、一生のお付き合いがしたい」と感じ、SEISYOを立ち上げました。

株式会社盛匠代表取締役
中島 盛夫
[保有資格:二級建築士、宅地建物取引士]

大工としてひたむきに走り続けていた26歳のある日、お客様の娘様から頂いた現場での一言、 「良い家を作ってくれてありがとう」その言葉に建築への想いが膨らんでいく気持ちに気づいた私は、 「家づくりの最初から最後まで、じっくりをお客様と対話して、一生のお付き合いがしたい」と感じ、SEISYOを立ち上げました。

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