省エネ基準義務化で家づくりはどう変わる？“知らずに建てると損をするポイント”

2025年度から、住宅の世界で大きな転換点を迎えました。それが「省エネ基準の義務化」です。
これまで日本では、住宅の断熱性能や省エネ性能は“努力目標”にとどまっていました。しかし2025年度からは、一定の断熱性能を満たしていないと家を建てることができなくなります。
これにより、新築住宅の性能は底上げされ、ご家庭の暮らしはより快適になるでしょう。一方で、基準を知らずに進めると、
「本来もっと快適にできたのに…」
「将来の光熱費をムダに払ってしまう」など、損をすることも考えられます。
この記事では、2025年度の義務化で家づくりがどう変わるのかを解説します。さらに、「どこに気をつければ損をしないのか」「何を知っておけば営業トークに振り回されないのか」など、これから家づくりを考える方に役立つポイントもまとめました。
家づくりは一生に一度の大きな買い物です。ぜひ正しい知識を知り、快適で、将来に負担の少ない家づくりにつなげていきましょう。

2025年度の省エネ基準義務化とは？

2025年度の義務化で基準となるのは「断熱性能」です。
これは、外壁・窓・屋根などから逃げる熱を少なくするための考え方で国が定める“断熱等級4”が最低ラインになります。
簡単に言うと“冬に寒くなりにくい家・夏に冷房が逃げにくい家”というイメージです。
これまでの日本では、地域や建築会社によって家の性能に大きな差がありました。営業資料に良いことが書かれていても、実際に住んでみると、
「冬の室温が外気とほぼ同じ」
「冷房の効きが悪い」という悩みが残るケースがあるのです。
しかし義務化後は、最低基準を満たしていない家は建てることができないため、住宅全体の性能は底上げされることになりますことになります。
ただし、義務化される「等級4」はあくまで最低基準です。近年では「等級5」「等級6」「等級7」など、さらに高い性能を標準にしている会社もあり、どの等級で建てるかによって光熱費や快適性に大きな差が生まれます。
そのため、等級の違いを理解して選ぶことが非常に大切です。

義務化で家づくりはどう変わる？

義務化により、まず“低断熱の家”を建てることができなくなるため、どの建築会社を選んでも最低ラインは確保することができます。これは新築を購入する方にとっては大きな安心材料になりますが、同時に注意すべき点もあるのです。
ひとつ目は「建築コストの上昇」です。
性能を高めるためには断熱材の厚みを増やしたり、窓の性能を引き上げたりする必要があるため、材料費は上がります。これは避けられない流れですべての建築会社に共通する変化です。
もうひとつは「性能の差が表面化する」ことです。
義務化後は最低基準こそ同じですが、各社がどこまで性能を上げるかは各社ごと違いが出ます。等級4のままの会社もあれば、標準で等級6を目指す会社もあります。
同じ“新築”でも、性能の差は今まで以上に広がっていく可能性があります。
つまりこれから家を建てるご家庭には、「どの等級で建てるのが自分たちに合っているか」を考えることが重要になります。

知らずに建てると損をするポイント

ここからは、省エネ基準の義務化で特に気をつけてほしいポイントを3つに分けて解説します。基準だけを信じて会社任せにしてしまうと、将来的な光熱費や快適性に大きく影響しますので注意しましょう。

「等級4＝十分」と思い込むと損をする

義務化される「断熱等級4」は、今の新築市場では決して高い性能とは言えません。地域にもよりますが、実際には等級5以上を標準にする会社も増えており、等級4は“最低ギリギリライン”という位置づけに近いと言えるでしょう。
等級4と6では、家の中に入る暑さ・寒さの量が全く異なります。
冬は暖房をつけてもすぐ冷えやすく、夏は冷房が逃げやすいという違いがあり、光熱費が年間数万円変わることもあります。
営業担当が「等級4で十分です」と説明する場合は、材料費を抑えたい会社側の事情であることもあるため、性能の根拠を確認することはとても大切なことです。

窓性能を軽く見ると光熱費が跳ね上がる

断熱性能を大きく左右するのは実は壁よりも“窓”です。家の中で熱が最も逃げやすい場所は窓であり、窓性能の差は快適性に直結します。
アルミサッシ・アルミ樹脂複合サッシ・樹脂サッシ・トリプルガラスなど、窓には多くの種類があります。どれが標準なのか、変更した場合の性能の違いはどれくらいかを必ず確認しておきましょう。
特に断熱性の高い家を建てたい場合や寒暖差が大きい地域では、樹脂サッシやトリプルガラスを選ぶことで光熱費の削減につながります。初期費用は増えますが、長い目で見ると暮らしが快適になるメリットは大きいです。

“価格だけ”で判断すると後悔する

義務化により建築費全体が上がることで、どうしても価格を優先したくなる方もいることでしょう。しかし省エネ性能は外から見えない部分にこそ差が出るのです。
断熱材の施工精度、気密性能、窓の取り付け方、換気システムの質など、暮らしの快適性を左右する要素は多くあります。
これらは図面だけでは判断しづらいため、価格だけで決めると後悔につながる可能性があります。

まとめ

2025年度の省エネ基準義務化は、これから家を建てるご家庭にとって大きなプラスになります。しかし「義務化された＝安心」とは限りません。最低基準は等級4であり、どの等級を選ぶかによって、快適性や光熱費は大きく変わります。
大切なことことは、価格だけで判断せず、「窓性能」「断熱材」「気密性」という3つのポイントをしっかり確認することです。正しい知識を持つことで営業トークに流されず、本当の意味で“快適で暮らしやすい家”を手に入れることができます。
省エネ基準を味方につけ、ご家庭にとって安心できる住まいづくりにつなげていきましょう。

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