新築住宅を検討していると、「耐震等級3」「断熱等級6」「ZEH水準」など、さまざまな数字や言葉を目にします。
しかし、住宅会社から説明を受けても、
「数字が大きいほどいいの?」
「最低基準を満たしていれば十分?」
「性能を上げると、どのくらい暮らしが変わるの?」
と迷う人は少なくありません。
住宅性能は高ければ高いほど良いとは限らず、建築する地域や間取り、予算、家族の暮らし方まで含めた判断が必要です。
一方で、建築費を優先して最低限の性能だけで建てると、完成後に寒さや暑さ、光熱費、地震への備えについて後悔することがあります。
この記事では、新築住宅で特に重要となる「耐震等級」「断熱等性能等級」「一次エネルギー消費量等級」の違いを図解で整理します。
どの等級を選べばいいのか分からない人は、住宅会社を比較する基準としてお役立てください。
住宅の性能等級とは、建物の性能を共通の基準で評価し、数字で分かるようにしたものです。
住宅会社によって構造や断熱材、設備の仕様は異なります。そのため、「地震に強い家」「夏も冬も快適な家」と説明されても、言葉だけでは正確な比較ができません。
そこで確認したいのが、次の3つの等級です。
| 性能等級 | 主に確認する内容 |
|---|---|
| 耐震等級 | 地震に対する建物の強さ |
| 断熱等性能等級 | 屋根・壁・床・窓から熱が逃げるのを抑える性能 |
| 一次エネルギー消費量等級 | 冷暖房・給湯・換気・照明などの省エネ性能 |
耐震等級は建物の骨組み、断熱等性能等級は建物を包む部分、一次エネルギー消費量等級は住宅で使用する設備を中心に評価します。
似ているように見える断熱性能と省エネ性能も、評価している内容は別です。
断熱材を厚くするだけで省エネ住宅になるわけではありません。窓や給湯器、エアコン、換気設備などを含めて、家全体の性能を確認する必要があります。
【図解ポイント】
・柱や梁、基礎=耐震性能
・屋根、壁、床、窓=断熱性能
・エアコン、給湯器、換気、照明=省エネ性能
耐震等級は、地震による建物の倒壊や崩壊のしにくさを表す基準です。
等級は1から3まであり、耐震等級3が最高等級となります。
耐震等級1は、建築基準法で求められる耐震性能と同等の水準です。
数百年に一度程度発生する地震力に対して、建物が倒壊や崩壊をしないことを基準としています。
「等級1だからすぐに倒れる」という意味ではありませんが、現在の法律で建築するために必要となる最低限の基準です。
耐震等級2は、耐震等級1で想定する地震力の1.25倍に耐えられる水準です。
災害時に避難場所として使われる学校や病院などでは、一般住宅より高い耐震性能が求められます。
長く暮らす住宅として最低基準よりも耐震性能を高めたい場合は、耐震等級2以上が比較基準になります。
耐震等級3は、耐震等級1で想定する地震力の1.5倍に耐えられる水準です。
住宅性能表示制度における最高等級であり、地震に備えた新築住宅では有力な選択肢となります。耐震等級1・2・3の倍率は、住宅性能評価・表示協会の基準でも明確に分けられています。
| 耐震等級 | 耐えられる地震力の目安 |
|---|---|
| 等級1 | 建築基準法と同等 |
| 等級2 | 等級1の1.25倍 |
| 等級3 | 等級1の1.5倍 |
これから新築するなら、僕は耐震等級3を基本に考えます。
住宅は完成後に耐震性能を大きく変更することが難しく、太陽光パネルや瓦、広い吹き抜け、大きな窓なども建物の構造に関係します。
ただし、「耐震等級3」と「耐震等級3相当」は同じとは限りません。
住宅会社へ確認するときは、等級の数字だけでなく、次の点まで確認が必要です。
・どの方法で構造を確認しているか
・建物ごとに構造計算を行っているか
・太陽光パネルなどの重さを含めているか
・第三者機関の住宅性能評価を取得するか
・地盤や基礎の計画まで説明されているか
【フラット35】Sの金利Aプランでも、耐震性に関する基準として耐震等級3または免震建築物が示されています。
なお、耐震等級は主に建物が地震に耐える強さを評価するものです。
地震の揺れを吸収する制震装置とは役割が異なるため、必要に応じて「耐震等級3+制震」という組み合わせも検討します。
断熱等性能等級は、外壁、屋根、床、窓などを通じて、住宅の内外へ熱が出入りするのを抑える性能です。
断熱性能は、冬の暖かさだけに関係するものではありません。
夏に外の熱が室内へ入るのを抑えることや、冷暖房した室温を保つことにも関係します。
現在の断熱等性能等級は1から7まであり、等級7が最高等級です。住宅性能表示制度では、等級4を現行の省エネ基準相当、等級5を誘導基準相当として区分しています。
断熱等性能等級4は、現在の省エネ基準に相当する水準です。
2025年4月以降に着工する新築住宅では、省エネ基準への適合が義務化されました。つまり、現在の新築住宅において等級4相当は、特別に高い性能ではなく最低限確保すべき水準です。
建築基準を満たしているからといって、すべての家庭が快適に暮らせるとは限りません。
大きな窓や吹き抜けがある家、日当たりの強い土地、冷暖房を使う時間が長い家庭では、等級4より高い断熱性能を検討する必要があります。
断熱等性能等級5は、ZEH水準の断熱性能に相当する等級です。
等級4よりも屋根、壁、床、窓などの断熱性能を高め、室内外の熱の移動を抑えます。
国は、遅くとも2030年までに新築住宅の省エネ基準をZEH水準へ引き上げる方針を示しています。これから長く暮らす住宅では、現在の最低基準だけでなく、将来の標準まで見据えた判断が必要です。
断熱等性能等級6は、等級5を上回る断熱性能です。
住宅内の温度差を抑えたい人や、冷暖房の効率を高めたい人にとって、有力な選択肢になります。
ただし、断熱材の厚みだけを見て等級6を判断してはいけません。
断熱性能は、建物からの熱の逃げやすさを表すUA値と、日射熱の入りやすさを表すηAC値などを、地域ごとの基準に合わせて評価します。日本は気候の違いによって8つの地域に分けられているため、同じ仕様でも建築地域によって評価が変わります。
窓の位置や大きさ、ひさし、軒、外付けシェードなどを含めて、夏の日射と冬の日射を調整する設計が必要です。
断熱等性能等級7は、住宅性能表示制度における最高等級です。
非常に高い断熱性能を目指す住宅では選択肢になりますが、すべての住宅で等級7が必要とは限りません。
断熱材や窓の仕様を高めれば、建築費も増加します。
建築地域、住宅の大きさ、間取り、窓の計画、冷暖房の使い方まで整理し、性能向上にかかる費用とのバランスを見て判断します。
これから新築する場合、僕なら断熱等性能等級5以上を最初の基準にします。
予算に余裕があり、夏と冬の室温や部屋ごとの温度差、冷暖房効率を重視するなら、等級6まで比較します。
等級7は、建築地域や住宅会社の施工体制、性能を高めるための追加費用を確認して判断する水準です。
| 断熱等性能等級 | 位置づけ | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 等級4 | 現在の省エネ基準 | 新築に必要な最低水準 |
| 等級5 | ZEH水準 | これからの住宅で基準にしたい |
| 等級6 | ZEH水準を上回る | 快適性や冷暖房効率を重視 |
| 等級7 | 最高等級 | 費用と地域条件を見て判断 |
一次エネルギー消費量等級は、住宅で使用する設備の省エネ性能を評価する等級です。
主に次の設備が評価に関係します。
・冷暖房設備
・換気設備
・給湯設備
・照明設備
・太陽光発電などの創エネルギー設備
断熱等性能等級が「家から熱を逃がさない性能」だとすれば、一次エネルギー消費量等級は「住宅設備で使うエネルギーをどれだけ減らせるか」を見るものです。
断熱性能が高くても、古い方式の給湯器や効率の低い設備を選べば、住宅全体のエネルギー消費量は増えます。
反対に、高性能な設備を採用しても、建物の断熱性能が低ければ、冷暖房に多くのエネルギーが必要です。
そのため、断熱性能と一次エネルギー消費量はセットで確認します。
現在の一次エネルギー消費量等級には、等級1・4・5・6・7・8があります。
等級4が現行の省エネ基準相当、等級6が誘導基準相当です。
さらに高い省エネ性能を評価するため、一次エネルギー消費量等級7と8が新設され、2025年12月1日に施行されました。
| 一次エネルギー消費量等級 | 位置づけ |
|---|---|
| 等級4 | 現在の省エネ基準 |
| 等級5 | 等級4を上回る省エネ性能 |
| 等級6 | ZEH水準の省エネ性能 |
| 等級7 | 等級6を上回る上位水準 |
| 等級8 | 現在の最高等級 |
一般的な新築住宅では、まず一次エネルギー消費量等級6以上を比較基準にすると分かりやすくなります。
【フラット35】Sの金利Aプランでも、省エネルギー性に関する基準として、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上が示されています。
等級7・8については、補助制度の条件や住宅会社の標準仕様、追加費用を確認したうえで判断します。
【図解ポイント】
「断熱=家を包む性能」
「一次エネルギー=設備で使うエネルギーを減らす性能」
新築住宅でどこまでの性能が必要かは、建築地域や予算によって変わります。
ただし、住宅会社を比較するときの最初の基準として、次の組み合わせを確認すると判断しやすくなります。
| 項目 | 現在の最低基準 | おすすめの目安 | さらに高性能を求める場合 |
|---|---|---|---|
| 耐震等級 | 1 | 3 | 等級3+制震 |
| 断熱等性能等級 | 4 | 5~6 | 7 |
| 一次エネルギー消費量等級 | 4 | 6以上 | 7~8 |
次の3つを住宅会社選びの基準にします。
・耐震等級3
・断熱等性能等級5以上
・一次エネルギー消費量等級6以上
そのうえで、室内の温度差や冷暖房効率を重視する場合は、断熱等性能等級6を比較します。
最高等級をすべて取得することだけが正解ではありません。
外観や間取り、設備に予算をかけすぎて住宅ローンの返済が苦しくなれば、暮らし全体のバランスが崩れます。
最初に総予算を決め、構造や断熱など完成後に変更しにくい部分から優先順位を整理することが大切です。
性能等級は住宅会社を比較するための重要な基準ですが、数字だけで住宅の快適性や品質がすべて決まるわけではありません。
契約前には、次の点も確認してください。
断熱性能を高めても、建物に多くの隙間があれば、外気が入り込み、冷暖房した空気も逃げます。
気密性能について説明を受けるときは、カタログ上の目標値だけでなく、完成した住宅で気密測定を行うか確認します。
窓は光や風を取り込む一方で、熱の出入りが大きい部分です。
大きな窓を増やすほど開放感は出ますが、方角や日射遮蔽を考えなければ、夏の暑さや冬の冷えにつながります。
UA値だけを見るのではなく、窓の方角、ガラス、サッシ、ひさし、軒まで含めて計画します。
高性能な断熱材や窓を採用しても、施工に隙間や欠損があれば、設計上の性能を十分に発揮できません。
断熱施工の写真を記録しているか、現場検査を行っているか、施工事例で確認できるかを住宅会社へ質問します。
「高断熱住宅」「耐震等級3相当」という説明だけでは、客観的な性能を確認できません。
設計住宅性能評価書、建設住宅性能評価書、BELS評価書など、第三者が性能を確認した書類を取得できるか確認します。
BELSは、建物の省エネ性能を評価・表示するための制度です。住宅会社の説明だけでなく、評価書に記載された数値を見て比較できます。
住宅会社を比較するときは、次の項目を確認してください。
□ 耐震等級はいくつか
□ 「耐震等級3」か「耐震等級3相当」か
□ 建物ごとに構造を確認しているか
□ 断熱等性能等級はいくつか
□ 一次エネルギー消費量等級はいくつか
□ UA値やηAC値を確認できるか
□ 完成した住宅で気密測定を行うか
□ 窓のサッシとガラスの仕様は何か
□ 断熱材の種類と施工方法を確認できるか
□ 住宅性能評価書やBELS評価書を取得できるか
□ 性能を上げる場合の追加費用はいくらか
□ 太陽光発電を含まない状態の省エネ性能を確認できるか
同じ「高性能住宅」という説明でも、基準や計算方法、証明書の有無は住宅会社によって異なります。
契約前に数字と書類を確認し、同じ条件で比較することが重要です。
新築住宅の性能を比較するときは、耐震・断熱・省エネを分けて考える必要があります。
耐震等級は地震に対する建物の強さ、断熱等性能等級は屋根や壁、窓などから熱が出入りするのを抑える性能、一次エネルギー消費量等級は住宅設備で使うエネルギーを減らす性能です。
これから新築する場合は、次の性能を最初の比較基準にすると分かりやすくなります。
・耐震等級3
・断熱等性能等級5以上
・一次エネルギー消費量等級6以上
さらに快適性や冷暖房効率を重視するなら、断熱等性能等級6を検討します。
ただし、等級の数字だけで住宅会社を決めてはいけません。
気密性能、窓の計画、日射遮蔽、施工精度、第三者による評価書まで確認し、設計上の性能を実際の住まいで発揮できるかを見る必要があります。
家の性能は、完成後に簡単に変更できない部分です。
間取りや設備を決める前に、家族がどのような環境で暮らしたいのかを整理し、必要な性能と予算のバランスを住宅会社と確認してください。
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