平屋は「廊下をなくせば広くなる」は本当?|面積だけで考えない平屋の設計 | 株式会社 盛匠|滋賀県栗東市の工務店
2026/8/28

平屋は「廊下をなくせば広くなる」は本当?|面積だけで考えない平屋の設計

平屋の間取りを調べていると、

「廊下をなくせば、その分LDKを広くできる」

「できるだけ廊下をつくらない方が効率がいい」

という考え方を目にすることがあります。

確かに、限られた床面積を有効に使うという意味では、廊下を必要以上に増やさないことは大切です。

特に20坪前後のコンパクトな平屋では、1坪、2坪という違いがLDKや収納、個室の広さに大きく影響します。

しかし、ここで考えておきたいのが、

「廊下をなくすこと」と「無駄な面積をなくすこと」は、同じではない

ということです。

廊下をなくした結果、LDKが通路になったり、寝室の前を家族が頻繁に通ったり、家具を置ける場所が少なくなったりすることもあります。

平屋で大切なのは、単純に床面積を削ることではありません。

今回は、平屋における「廊下」の役割から、数字だけでは分からない間取りの考え方まで掘り下げます。

そもそも、なぜ平屋では「廊下をなくす」と言われるのか

平屋は、リビングも寝室も水まわりも、すべて同じフロアに配置します。

そのため間取りのつくり方によっては、それぞれの部屋をつなぐための廊下が長くなることがあります。

たとえば、幅1m、長さ4mの廊下なら約4㎡。

畳数にすると、およそ2.4畳分です。

その面積をLDKや収納に使えれば、確かに数字上は居住スペースを広げることができます。

だからこそ、コンパクトな平屋では、

「なるべく廊下を短くする」

という設計がよく考えられます。

ただし、廊下を図面から消しても、人が移動するためのスペースそのものが消えるわけではありません。

ここが重要です。

廊下をなくしても「移動する面積」はなくならない

たとえば、玄関からLDKへ入り、LDKを横切って寝室へ向かう間取りを考えてみましょう。

図面上には「廊下」と書かれた場所がありません。

そのため一見すると、とても効率の良い間取りに見えます。

しかし実際には、LDKの中に人が歩くためのルートが必要になります。

ソファの横を通る。

ダイニングテーブルの後ろを通る。

テレビの前を横切る。

つまり、廊下という名前がなくなっただけで、LDKの一部が通路として使われていることになります。

床面積だけを見れば効率的でも、家具を置いて暮らし始めると、

「ここは人が通るから何も置けない」

という場所が生まれることがあります。

間取りを見るときは、

「廊下が何帖あるか」

だけではなく、

家の中で人がどこを歩くのか

まで考えることが大切です。

LDKを通路にすると家具の配置が難しくなることもある

廊下を減らしてLDKを広くしたはずなのに、思ったほど広く使えない。

その理由の一つが家具です。

リビングには、

ソファ、テレビ、テレビボード、ダイニングテーブル、椅子など、多くの家具を置きます。

ところがLDKの中に寝室や洗面室へ向かう動線が通っていると、その部分には家具を置けません。

たとえば18帖のLDKでも、その中を複数の動線が横切っていれば、18帖すべてを自由に使えるわけではありません。

反対に、LDKが16帖でも、壁面がきれいに残り、家具の配置と人の動線が整理されていれば、空間を使いやすく感じることもあります。

つまり、

帖数が大きいことと、使える面積が大きいことも同じではありません。

平屋では、部屋の広さと同時に「家具を置いた後の余白」まで考えておきたいところです。

廊下には「部屋を離す」という役割もある

廊下というと、人が歩くだけの場所に見えるかもしれません。

しかし住宅では、もう一つ大切な役割があります。

それが、

空間と空間の距離をつくることです。

平屋はすべての部屋が同じ階にあるため、2階建てに比べて生活空間同士の距離が近くなります。

たとえば、

LDKのすぐ横に寝室がある。

リビングからトイレのドアが見える。

玄関から個室が直接見える。

洗面脱衣室へ行くためにリビングを横切る。

間取りとして成立していても、実際の生活では音や視線が気になることがあります。

こうした場合、短い廊下やホールがあることで、生活空間の間にワンクッションをつくれます。

廊下は単なる移動スペースではなく、

家族それぞれの生活を適度に分けるための空間

として使うこともできるのです。

「廊下ゼロ」より「短く、意味のある廊下」を考える

では、平屋では廊下をつくった方がいいのでしょうか。

もちろん、必ず必要というわけではありません。

大切なのは、

「廊下があるか、ないか」

という二択にしないことです。

たとえば、

玄関からLDKまではホールを短くする。

LDKを中心に各部屋へアクセスする。

寝室側だけ短い廊下を設ける。

水まわりをまとめて移動距離を短くする。

といった方法もあります。

必要のない長い廊下は減らしながら、プライバシーや家具配置のために必要な場所には、あえて移動空間を残す。

こうすると、面積を抑えながら暮らしやすさも整えやすくなります。

目指したいのは「廊下ゼロの家」ではありません。

理由のない廊下をなくすことです。

平屋は「何坪あるか」だけでは広さを判断できない

平屋を検討すると、

「20坪では狭いでしょうか」

「25坪あれば十分ですか」

「30坪必要でしょうか」

と坪数が気になると思います。

もちろん、床面積は重要です。

しかし同じ20坪でも、間取りによって暮らしたときの感覚は大きく変わります。

LDKを人が何度も横切る20坪。

家具の置き場所まで整理された20坪。

収納までの移動距離が長い20坪。

使う場所の近くに収納がある20坪。

すべて同じ床面積です。

だからこそ平屋では、

「何坪の家を建てるか」より先に、「その面積をどう使うか」を考える必要があります。

面積を削るなら「場所」ではなく「役割」から考える

コンパクトな平屋を考えるとき、

「廊下をなくそう」

「子ども部屋を小さくしよう」

「収納を減らそう」

と、場所ごとに面積を削っていく方法があります。

ただ、この考え方だけでは暮らしに必要なものまで失ってしまう可能性があります。

まず考えたいのは、その場所が何のために必要なのかです。

たとえば廊下なら、

ただ人が通るだけなのか。

寝室とLDKの距離を取るためなのか。

収納へのアクセスに必要なのか。

玄関から室内への視線を遮るためなのか。

役割が分かれば、残すべき場所と減らせる場所が見えてきます。

これは廊下だけではありません。

個室、収納、LDK、水まわりも同じです。

面積を小さくすることから始めるのではなく、

暮らしに必要な役割を整理した結果として、家がコンパクトになる。

この順番で考えると、単に小さいだけではない平屋をつくりやすくなります。

20坪の平屋でも、家族によって正解は変わる

同じ家族構成でも、必要な間取りは同じではありません。

家で仕事をする人。

料理をする時間が長い人。

服をたくさん持っている人。

休日は家族でLDKに集まる人。

それぞれ自分の時間を大切にしたい家族。

生活が違えば、必要な場所も変わります。

だから、

「平屋なら廊下はなくした方がいい」

「20坪ならLDKは○帖」

「収納は○%必要」

といった数字だけで間取りを完成させることはできません。

家の面積を決める前に、

家族がどこで過ごすのか。

家の中をどう移動するのか。

何をどこに置くのか。

どこでは一緒に過ごし、どこでは一人になるのか。

そこまで考えて初めて、自分たちに必要な広さが見えてきます。

自分たちなら、どこを削ってどこを残す?

ここまで読んでいただくと、

「廊下をなくせば、その分広くなる」

というほど平屋の設計が単純ではないことが分かると思います。

大切なのは、廊下をなくすことでも、できるだけ小さな家を建てることでもありません。

自分たちの暮らしに必要な場所を残し、必要のない面積を増やさないこと。

SEISYOの「Designers Compact」は、そんな考え方から生まれたコンパクトな住まいです。

Designers Compactの平屋相談では、完成した間取りを当てはめるのではなく、

「何人で暮らすのか」

「家ではどんな時間を過ごしたいのか」

「家具をどこに置きたいのか」

「収納はどのくらい必要なのか」

「どこなら面積を抑えられるのか」

といった暮らし方から、必要な家の大きさを一緒に整理していきます。

20坪がいいのか。

21坪がいいのか。

もう少し必要なのか。

その答えは、家族によって違います。

平屋を検討しているけれど、自分たちに何坪必要なのか分からない。

できるだけコンパクトにしたいけれど、暮らしにくくなるのは避けたい。

そんな方は、まず自分たちなら「どこを残し、どこを小さくできるのか」を考えてみませんか。

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【Designers Compact デザイナーズコンパクト】

著者プロフィール

中島 盛夫
株式会社盛匠代表取締役[保有資格:二級建築士、宅地建物取引士]

大工としてひたむきに走り続けていた26歳のある日、お客様の娘様から頂いた現場での一言、 「良い家を作ってくれてありがとう」その言葉に建築への想いが膨らんでいく気持ちに気づいた私は、 「家づくりの最初から最後まで、じっくりをお客様と対話して、一生のお付き合いがしたい」と感じ、SEISYOを立ち上げました。

株式会社盛匠代表取締役
中島 盛夫
[保有資格:二級建築士、宅地建物取引士]

大工としてひたむきに走り続けていた26歳のある日、お客様の娘様から頂いた現場での一言、 「良い家を作ってくれてありがとう」その言葉に建築への想いが膨らんでいく気持ちに気づいた私は、 「家づくりの最初から最後まで、じっくりをお客様と対話して、一生のお付き合いがしたい」と感じ、SEISYOを立ち上げました。

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